
「初心者はレンズで何を選べばいいんだろう…」
カメラを手にした誰もが一度はぶつかる、このレンズ選びの悩み。たくさんの種類があって、どれが自分に合うのか分からず、立ち止まってしまっていませんか?
実は、カメラ初心者のレンズ選びで最も大切なのは「性能の優劣」ではありません。色々な撮り方を試して「自分の好きな写真スタイル」を見つけることです。
この記事では、そのための最高の相棒として標準ズームレンズを提案します。なぜ最初の1本にズームレンズが最適なのか、そして具体的なおすすめレンズまで、レンズ選びの悩みを解決します。
「標準ズームレンズ」って何?広角・望遠から解説
「広角」「望遠」とは?
レンズを理解するために、まずこの2つの言葉を知りましょう。
「広角(こうかく)」とは?
広い範囲を写すことです。レンズの数値
- イメージ:目の前の雄大な景色を、まるごと1枚の写真に収めたいとき。
- 得意なこと:風景写真、狭い室内で全体を写すこと。迫力が出ます。(手前のものがより大きく、奥のものがより小さく見える)
「望遠(ぼうえん)」とは?
遠くのものを大きく写すことです。
- イメージ:公園の向こうにいる鳥を、双眼鏡で見るように大きく撮りたいとき。
- 得意なこと:運動会の子供や動物など、遠くの被写体を引き寄せること。主役が際立ちます。(背景がボケやすい)
「標準(ひょうじゅん)」とは?
広角と望遠のちょうど中間にあるのが「標準」です。
これは「人間が普段、自然に見ている視野に近い」とされています。見たままの自然な雰囲気で撮れるのが特徴です。
レンズに書かれている「〇〇mm」という数字は、「広角」や「望遠」の度合いを示す「焦点距離」というものです。
この数字が…
- 小さいほど「広角」
- 大きいほど「望遠」
になります。
種類 | フルサイズの場合 | APS-Cの場合 |
---|---|---|
超広角 | 24mm 以下 | 16mm 以下 |
広角 | 35mm 前後 | 24mm 前後 |
標準 | 50mm 前後 | 35mm 前後 |
中望遠 | 85mm~135mm | 55mm~85mm |
望遠 | 200mm 以上 | 135mm 以上 |
「標準ズームレンズ」とは?
「標準ズームレンズ」とは、「広角」「標準」「ちょっとした望遠」までを1本でカバーできる、非常に便利なレンズのことです。
つまり、色々な役割を1本にまとめた万能レンズと考えてください。
標準ズームレンズで撮れるもの
ズームレンズなら、一本で壮大な景色から人物のアップまで多彩な撮影を試すことができます。まずはズームレンズでいろいろな世界を切り取って、自分の好きなスタイルを探してみましょう。



上の3枚の写真は全て1本のレンズ(RF 24-105mm F4 L IS USM)で撮影しました!

一本でいろんなシーンを撮れるのがズームレンズの良さだね!
【広角側:24mm前後】風景や空間全体をダイナミックに
ズームを一番広く写る設定(広角側)にすると、目の前の空間をダイナミックに切り取れます。
広い範囲を写せるので、旅行先の壮大な景色や、おしゃれなカフェのインテリア全体を一枚に収めたいときに大活躍します。


広大な風景、夜景など、ダイナミックさを表現したいときにおすすめ!
【標準域:50mm前後】見たままの自然なスナップ写真に
ズームを真ん中あたり(標準域)に合わせると、人が目で見た印象にとても近い、自然な雰囲気の写真が撮れます。
この画角は、街を歩いていて「あっ、素敵だな」と思った瞬間を、そのままの空気感で写し取るのに最適です。
被写体との距離感も自然なので、友人や家族のポートレートを撮っても、リラックスした表情を引き出しやすいです。


街スナップ、風景など何でも合う。「あっ、これ撮りたい!」と思ったときにおすすめ。
【望遠側:85mm以上】主役を際立たせる印象的な写真に
ズームを一番アップになる設定(望遠側)にすると、背景がふんわりとボケて、主役が際立つ印象的な写真が撮れます。
遠くにあるものを大きく写すだけでなく、背景を整理して、撮りたいものだけに視線を集中させる効果があるのです。
テーブルの上の料理や、道端に咲く一輪の花。何気ない被写体も、この効果を使えば一瞬でアート作品に生まれ変わります。


ポートレート、食事、物撮り、スポーツなど、明確にテーマ(写真の主役)が決まっているときにおすすめ!
【メーカー別】おすすめ標準ズームレンズ
ここからは、お使いのカメラメーカー別に、おすすめの標準ズームレンズを「理想の一本」と「コスパ重視」に分けて紹介します。純正レンズだけでなく、魅力的なサードパーティ製レンズも登場しますので、ぜひ参考にしてください。
※本記事で紹介している価格は、2025年8月13日の「価格.com」を参考に記載しています。価格は常に変動するため、最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
【純正レンズ】
カメラ本体のメーカー(キヤノンやソニー、ニコン等)が作る公式レンズ。
カメラとの相性が抜群で、手ぶれ補正やオートフォーカス性能が優れていることが魅力。
【サードパーティ製レンズ】
レンズ専門メーカー(シグマ、タムロン等)が作るレンズのこと。
純正品より手頃な価格で手に入り、コスパの良さが最大の魅力。性能も十分実用的。
【ソニー / SONY】のカメラを使っている人
理想の一本【SONY FE 24-105mm F4 G OSS】¥130,000
ソニーが誇るGレンズの称号を持つこの一本は、まさに優等生。ズーム全域でシャープな写りを実現し、あなたが切り取りたい風景や人物のディテールを驚くほど鮮明に描き出します。少し値は張りますが、それに見合うだけの感動を与えてくれる、長く付き合える最高の相棒です。
コスパ重視【タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2】¥85,000
サードパーティ製レンズの中で絶大な人気を誇る一本。F2.8という明るいF値を持ちながら、純正レンズより手頃な価格で手に入ります。背景を大きくぼかしたポートレートや、少し暗い場所での撮影に強みを発揮します。純正のキットレンズからのステップアップとして、これ以上ない選択肢です。
【キヤノン / Canon】のカメラを使っている人
理想の一本【Canon RF24-105mm F4 L IS USM】¥155,000
キヤノンの威信をかけた「Lレンズ」の赤いラインは、信頼の証。どんな場面でも安心してシャッターを切れる安定感と、人の肌などを美しく再現する卓越した描写力が魅力です。撮るたびに所有する喜びを感じさせてくれる、まさに王道と呼ぶにふさわしいレンズです。


コスパ重視【Canon RF24-105mm F4-7.1 IS STM】¥64,000
Lレンズと同じ焦点距離をカバーしながら、驚くほどの軽さと価格を実現した一本。暗い場所は少し苦手ですが、日中のスナップや旅行なら全く問題ありません。カメラをとにかく軽く、気軽に持ち歩きたいアクティブなあなたにおすすめしたいレンズです。



現状、キヤノンRFマウントは魅力的なサードパーティ製AFレンズが少ないため、純正がおすすめ。
【ニコン / Nikon】を使っている人
理想の一本【Nikon NIKKOR Z 24-120mm f/4 S】¥130,000
ニコンの高性能レンズ「S-Line」に属し、その写りはまさに圧巻。特に120mmまでカバーする絶妙なズーム域が秀逸で、他のレンズでは撮れない一歩先の構図を可能にします。風景からポートレートまで、これ一本で作品レベルの写真が撮れる実力派です。
コスパ重視【タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2】¥96,000
ソニー用としても人気のレンズが、ニコンZマウント用にも登場しています。F2.8の明るさを手頃な価格で手に入れられるのが最大の魅力。純正のS-Lineとは異なる軽快な使い心地で、ポートレート撮影などを中心に考えているなら、非常に有力な候補になります。
【富士フイルム / FUJIFILM】を使っている人
理想の一本【FUJIFILM XF16-55mmF2.8 R LM WR】¥159,000
「大三元」と呼ばれる最高級ズームレンズ。F2.8という明るさをズーム全域で維持できるため、薄暗いシーンでもためらうことなくシャッターを切れます。その描写力は単焦点レンズに匹敵すると言われ、富士フイルムの色表現を最高の形で味わい尽くせる一本です。
コスパ重視【シグマ 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary】¥61,000
驚くほど小さくて軽い、F2.8通しのズームレンズ。純正の「XF18-55mm」も素晴らしいレンズですが、こちらのシグマ製レンズはさらにコンパクトで、明るさもF2.8で固定されているのが強みです。カメラの機動力を損なわずに、明るいズームレンズを使いたいあなたにぴったりです。
【パナソニック / Panasonic】を使っている人
【フルサイズ / Lマウント】の場合
理想の一本【LUMIX S PRO 24-70mm F2.8】¥210,000
プロユースを想定した最高峰レンズ。描写力、操作性ともに妥協がなく、最高の画質を求めるならこれ一択です。
コスパ重視【シグマ 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary】¥83,000
純正よりはるかに小型軽量で、価格も手頃なF2.8ズームで、非常に人気の高い一本です。
【マイクロフォーサーズ】の場合
理想の一本【LEICA DG 12-60mm / F2.8-4.0】¥86,000
ライカの基準をクリアした、特別なレンズ。ズームとは思えない美しいボケ味と繊細な描写が魅力です。
コスパ重視【LUMIX G VARIO 12-60mm / F3.5-5.6】¥44,000
上のライカ銘レンズと同じ焦点距離をカバーしながら、より手頃な価格を実現。普段使いに最適な、バランスの取れた一本です。
【オリンパス / OM SYSTEM】を使っている人
理想の一本【M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II】¥92,000
ズーム全域でF2.8の明るさを誇る、まさにフラッグシップと呼べるレンズ。厳しい環境でも撮影を続けられる防塵防滴性能も備えており、どんな状況でも最高の画質を約束してくれます。本格的な風景撮影や星空撮影にも挑戦できる、頼れる一本です。
コスパ重視【M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO】¥57,000
PROレンズの卓越した描写性能を、驚くほど小さなボディに凝縮したレンズです。その軽さは、まるでレンズが付いていないかのように感じるほど。画質には妥協したくない、でも機材はできるだけ軽くしたい…そんなワガママな願いを叶えてくれる、最高の旅のお供です。
まとめ:まずはズームレンズで撮影を楽しもう!それが上達への一番の近道
ここまで、カメラ初心者の最初のレンズ選びについて解説してきました。最初の1本には「標準ズームレンズ」がとてもおすすめです。なぜなら、1本で広い風景から人物、テーブルの上の料理まで、様々な撮り方を試しながら、自分の「好き」を見つけることができるからです。
この記事では、具体的な作例とともに、メーカーごとの「理想の一本」や「コスパ重視の一本」を紹介しました。純正レンズだけでなく、魅力的なサードパーティ製レンズも登場したので、ご自身の予算やスタイルに合う一本をイメージする手助けになれたら嬉しいです。